ステンレスの種類につてTypes of stainless steel

ステンレスは、「Stain less(錆びない)」との名前のとおり、錆びにくい金属となっています。特にキッチンでよく利用される18-8ステンレス(SUS304)は水や熱に強くキッチンに最適な素材となります。
ステンレスは、スチール等に比較すると極めてすぐれた耐食性を有する材料ですが、絶対にさびない金属ではなく特定の条件下ではサビることもありますので、正しく使うことが大切になります。
SUS304とSUS430の違い
SUS304等の300番台ステンレス鋼はクロム・ニッケル系の高合金鋼で、それに対してSUS430等の400番台は高クロムの合金鋼です。ニッケルの有無という点で大きく違います。このニッケルの存在のために、300番台のステンレス鋼は金属組織が「オーステナイト」という状態になっています。
また、ニッケル添加による作用として、300番台のステンレス鋼には非磁性という特徴がありSUS403に比べて錆にくい性質を持っています。価格に関しては、ニッケルというのはクロムの比にならないほど、高価な金属ですから ニッケルを含まないSUS430よりも8%ほどニッケルを含んでいるSUS304の方が高価になります。
- SUS304
- 最もポピュラーなステンレスで、SUS304を一般的にステンレスと呼んでいます。SUS304は、オーステナイト系のステンレスで、耐食性に優れており、家庭用品から工業用品まで広く利用されています。弊社製造のステンレス作業台においても代表的な材料です。
- SUS316
- SUS304に、18%のクロム(Cr)と12%のニッケル (Ni)を含み,それにモリブデン(Mo)を添加して耐食性,. 耐孔食性をSUS304よりさらに 向上させたステンレス鋼です。錆びやすい環境で、より耐食性を必要とする条件の厳しい場合に使用します。
- SUS201、SUS202
- SUS304に、ニッケル(Ni)の割合を落としたもので、耐食性でかなり劣りますがSUS304より安価で調理器具等に使用されてます。オーステナイト系のSUS304やSUS316は磁石がつかないという特徴があります。従来は磁石によって見分けてました。しかし、一般的に磁石がつかない=高級品と思われてるためSUS201やSUS202をSUS304と間違えてるケースがあります。これらのSUS200系は非磁性体のため、SUS304と見分けがつきません。マンガンの含有量がちがうことから、マンガンの含有量を調べればわかりますがマグネットでは判別ができません。また、JIS規格では「ばね用ステンレス鋼帯」で規定されるが、国内メーカーでは鋼板・鋼帯の製造してません。厨房本舗ではお勧めできません。
- SUS430
- フェライト系のステンレスで、SUS304に比較して耐食性・強度で劣りますが、SUS304より安価であり経済性に優れています。ただし錆が発生しやすく、厨房本舗ではお勧めしておりません。
材質 | 種類 | 磁性 | 耐食性 | 強度 | 経済性 |
---|---|---|---|---|---|
SUS304 | オーステナイト | なし | ○ | ○ | ○ |
SUS316 | オーステナイト | なし | ◎ | ○ | △ |
SUS430 | フェライト | あり | △ | △ | ◎ |
SUS201 | オーステナイト | なし | △ | △ | ◎ |
ステンレスが錆にくい理由
ステンレス鋼が耐食性に優れている理由は、材質自体によるものではなく、その製造工程に於て表面に作られている不動態化被膜と呼ばれる目には見えない極く薄い被膜のおかげでステンレスは錆に強いです。「不動態皮膜」は、クロムと大気中等の酸素との反応によって作られるもので、1~3nm(ナノメートル)※という非常に薄い皮膜です。
ニッケルはより錆びにくくするために加えられます。不動態皮膜の最大の特徴は、自己修復機能を持っている点です。使用中に不動態皮膜が破れても、鋼中のクロムと大気中等の酸素とが反応して同じ皮膜を瞬時に再生します。但し、無限に再生されるのではなくクロムの含有量が少ない部分ができればこの再生に時間がかかりステンレスは錆びます。
※1nm(ナノメートル)は、1メートルの10億分の1。

ステンレスの種類
- オーステナイト系ステンレス
- この鋼種はC 0.15%以下、Cr16~20%、Ni8%以上、主成分はクロムとニッケルです。常温でオーステナイトという金属組織になります。ステンレス鋼で最も耐食性に優れ、低温・高温での特性も優れます。磁石には付かないステンレス鋼としても知られています。但し溶接などの加工による変質で磁性を帯びる場合があります。JIS記号にはSUS304,SUS316などがあります。
- マルテンサイト系ステンレス
- この鋼種はC 0.1~0.40%、Cr12~18%主成分はクロムと炭素です。焼入れをするとマルテンサイトという硬い金属組織になります。高価なニッケルを含まないため安価ですが、厳しい環境下で錆びやすく、ステンレス鋼の中で最も耐食性に劣ります。JIS記号にはSUS410などがあります。
- フェライト系ステンレス
- この鋼種はC 0.12%以下、Cr16~18%、Ni8%以上、主成分はクロムです。常温でフェライトという金属組織になります。オーステナイト系に次ぐ耐食性をもちます。用途は、一般的な耐食性を要する厨房用品、建築内装、などです。強度がさほど高くないことに注意が必要です。JIS記号にはSUS430などがあります。
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